【C.ウィルソンのユング伝】

意識と無意識の幸福結婚。
ではなくて、
無意識からする意識の支配論へと、
悲観主義に傾斜したのがフロイトで、
そのフロイトの流れを汲んだユングは、
無意識を宗教回路的に捕らえ直すも、
この二人は、精神治療上では、下手であった、と。
意識左脳は、指揮者で、
　
無意識右脳は、オーケストラで、
無意識回路を調整するのは、意識回路だ、
というのが、どうやら、C.ウィルソンの考え方のようです。
最終的に、彼は、
悲観主義回路から楽観主義回路への転換として、
マスローの欲望の階層理論と至高体験論に依拠して、
フロイトとユングをさほど高く評価しない。
無意識から意識へではなく、
意識から無意識への調整、
決意、決断、意志による無意識の調整、
つまり、意志的なるものにより、
意識と無意識は幸福なる結婚をするのだ、
という感じの趣旨の表明をしているようです、ね。
つまり、心理学は、価値と意志の取り扱いは下手で、
魂レベルでのより上位的なものが、そうした下位レベルの
ものを調整していくことができる、と。
要するに、フロイト、ユングの路線では、
精神治療としては失敗が多いということ。
つまり、積極要素が出にくい思考回路をこの二人は、
どうもしているんじゃないか、と。
最終的には、どうすれば、現世的活動において
元気がでてくるのか。
シュタイナーは、フロイトとユングの心理学手法に
対して、当然、限界的理論だとしているようですが、
シュタイナーの心理学に対する批判は未見につき、
不明のところ、それでも、さほどの積極的な意義は、
認めていないと推定されます、ね。
シュタイナーは、人間を元気にするのは、
ずばり、密儀だ、とは明言していないところ、
それでも、古代密儀的なものの積極性を認容していると
こちらは解しています。
ちなみに、ウィルソンによる評伝は、
クロウリー、
シュタイナー、
ユング、
ウスペンスキー、
グルジェフ、
ラスプーチン、
とあるところ、
拝見したのは、上記三つのみで、あとは未見です。
シュタイナー伝は、それなりに秀逸でした。
クロウリー伝は、ゴシップによる構成が多かったので、
これは、いまいち、でした。
また、マスロー心理学を持ち上げるのは、
こちらからすると、ピンとこないです、ね。
だが、『至高体験』は、いろんな心理学が俎上に
載せられていますので、どのように捌いているのかの
実例になり、参考にはなるか、と。
しかし、実用的には、シュタイナーの心理分析のほうが
使える要素は多いと解しています。

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