党派的真理根拠は次元相異の混同か

三人集まれば、
全員一致でない場合は、
二対一で、
二人の意見で押し切る。
押し切るということは、
一人の意見を抹殺することであると、
迫るのは、かの吉本隆明である。
共同で観念を作るということは、
そういう党派的な押し切り真理性を
帯びざるを得ないんじゃないかと、
彼は、種明かしをする。
だから、ぼくは、信者を獲得できない、と。
自己欺瞞的な観念のインチキをしないと、
共同の観念性を獲得しがたいので。
たしかに、
彼の共同幻想論の背景は、
党派的な真理性の根拠は、
個人観念、対観念、共同観念の混同にあるんじゃないかと
提出してくるのであるところ、
しかし、共同社会において、
ある集団の真理は、他の集団の真理と対立するという
真理の相対性が、
上記の三つの観念の次元相異を混同しなくても、
出てくるのではないかと解される。
つまり、真理の党派性の前に、
利害の不一致性、利害の党派性が先行するがゆえに、
共同社会においては、
普遍的真理は成立しないんじゃないか、と。
いかに、戦前において、
皇国少年に自分がなったとしても、
社会の隅々にまで、皇国少年化が浸透したワケではない。
必ず、皇国少年化に抵抗する者が出てくる。
しかし、世の大勢は、過半数を制すると、
やはり、残りの他を制圧することが可能なのであり、
普遍思想の装いをした皇国思想といえども、
やはり、党派性を帯びざるをえない。
だから、吉本隆明の観念上の病気があるとすれば、
真理の普遍性があると仮定することに根拠をもつ。
だから、世の多数派を構築しようとする勢力は、
かならず、意図的な党派的プロパガンダを組むだけの
冷静さを要求されるはずである。
往昔、吉本と対決したときは、
共同の観念性なのか、
共同の実在性なのか、
ここで、第一の分岐点となった。
次に、真理の普遍性を求めるのではなく、
実務社会は真理の党派性の探究で妥協せざるをえない、
という結論を出した。
あらためて、吉本のキリスト教論集集成を
検討すると、普遍思想を語る思想の自己欺瞞性を
暴露することになっている。
逆にいうと、
この実務社会では、
特定共同の党派的な思想を普遍的であると、
詐称することを強いられることの根拠は何か、
そのように問題を立て直す必要があるのではないかと、
解される。
というのは、
特殊共同の利益を守ることが、
特殊共同体にとっての利益なので、
それ以上の観念の共同性に参加していくことは、
虚偽性を帯びざるをえない。
また、所詮、民主主義が・・・といっても、
多数の党派性と少数の党派性との相克葛藤は、
回避できない。
あとは、少数派の救済措置がどこまで確保され
ノコサレテイルか、ではないだろうか。。。。。

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