【カール・R・ポパーの科学哲学】

金融投機家G.ソロスの心の師が、
イギリスの科学哲学者カール・R・ポパーだった。
ただ、師と一点異なるのは、自然科学的方法を
社会に持ち込まないことであった。
それ以外は、批判的思考モードが開かれた社会に通じると
G.ソロスは信ずる。
社会科学は信仰だ、というのは、
アカデミズムの世界では常識のところ、
一般社会では信仰とは宗教じゃないかと思うところが、
世の常識と逆行するようである。
どうして、社会科学の世界は信仰なのかというと、
絶対確実性がないがために、その確実性に代わるのが、
主観的信仰性なのである。
どこにも寄る辺もない世界に入りこむとき、
人は、素手で探索するというワケにいかない。
だから、そこには、学派ができ、親分・子分ができ、
群れないと、安心立命が得られないのである。
そこには、学派の群れがあり、一匹狼の生息する場所はない。
一匹狼は在野で一人自分の道を行くのみとなる。
さて、懐かしいカール・ポパーのところ、
『歴史主義の貧困』程度の挨拶しか、
こちらはしたことがなかった。
認識論を振り回す連中はおおむねカント学徒なので、
歴史派とは相容れないのである。
つまり、ポパーが言いたいことは、
歴史派は哲学が貧困ではないか、
ということである。
その批判の急先鋒となるのは、
いわずとしれたマルクスである。
ファシズムと共産主義を批判しきることが
西欧知性の試金石となる。
真理を知っているのは自分だけだと自称するイズムは、
いずれも、圧制を結果するので、このイズムバスターが
カール・ポパーの生涯の仕事となった。
もち、ポパーの立論が政治論になりえないことを
G.ソロスは見抜いた。
が、ソロスは果敢に政治体制に挑戦し続ける。
それは、政治権力から遠いがゆえに、
批判の矛先がむけ安いからである。
まぁ、いまさら、ポパーを読む気はないけど、
G.ソロスを通じて、間接的に、師の思想枠組みが
了解できればOKである。
ファシズムと共産主義の狭間で生きて来た者は、
自ら、社会に対して、どう立ち向かうのか、
そういう決断を迫られる。
この二つのクローズド社会に対抗するに、
ソロスは、オープン社会を探索し続ける。・・・・

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