「天皇」の原理 (ニュー・クラシック・ライブラリー) 新書 – 2023/3/29 小室直樹 (著)

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【キラーコイルの秘密】
【「天皇」の原理
(ニュー・クラシック・ライブラリー) 新書
– 2023/3/29 小室直樹 (著)】


いかに単純化してみせるか。
予備校塾講師の役割は
単純化能力を駆使すること。
こちら的には
三角関係ではなく
四角関係を提示することが
自分の役目だとの自覚がある。
その点、
三位一体ではなく
四位一体として
悪魔を導入したユングには
それなりの敬意を払うも、
易占い的ユングの元型論は、
神話解釈論として読む他ない。
つまり、
こちら的には、
ユングとフロイトを
セットとしてみて、
どちらも排斥しない。
さて、三島論について
猪瀬直樹と小室直樹の比較を
するのはよいとして、
小室の宗教論の完成としての
『天皇の原理』があるのを
思い出してきた。
小室直樹については
弁護士先生による伝記があり
これは傑作であり、
それにもとづいて追悼をした
ことがある。
2019頃のお話。
ちなみに、
小室が依拠しているものは、
M.Weberの比較宗教社会学
丸山政治学
川島法社会学
この3つで、
意外にも、
サムエルソン流の経済学の
解説は歯切れが悪い。
どうも、小室は経済学の解説は
うまくない、ということ。下手。
また、宗教解説は
神学レベルにまで至らない。
M.Weberの影響が強すぎて、
現象整理にちょい味付けしているに
とどまる。
以下、『天皇の原理』の概要。
———————————-
天皇はいかにして神になったのか。
世界宗教の根本理解から天皇の神性が浮かびあがる
 世界に比類のない日本の天皇はいかなる原理によって日本の歴史を動かしてきたのか。
 神からのぞみの地を約束された民は世界でも日本人とユダヤ人だけ。しかし日本人とユダヤ人は対蹠的な歴史を歩んだ。日本人はのぞみの地にとどまり、ユダヤ人は世界を流浪した。そこにはどのような神の力が働いていたのか。
 ユダヤ教との比較に始まり、キリスト教、仏教、儒教、イスラム教といった世界宗教の根本理解から日本の天皇を位置づける。
 さらに、キリスト教の「予定説」(プリディスティネーション)の原理から天皇の神勅的正統性を導きだし、そしてイエス・キリストの復活と三度にわたる天皇の復活が同型(アイソモルフィック)であることから天皇という神の原理を抽出する。
 時代に隔絶した大天才の碩学が、世界の奇跡ともいうべき日本の天皇という存在を徹底的に究明した驚愕の書。
小室直樹氏の直弟子でもある副島隆彦氏が解説と絶賛推薦!
——————————-
上位レビュー、対象国: 日本
saki-jun
5つ星のうち5.0 宗教の影響
2023年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ユダヤ教からキリスト教・イスラム教、仏教の根本教義を踏まえ、日本の仏教の変遷、天皇のキリスト教的な要素に言及し、承久の乱や明治維新から天皇の権威の死と復活について描いている。興味深い本です。
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6000ban
5つ星のうち5.0 稀代の名著
2023年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
復刊していただき、ありがとうございます。心より御礼申し上げます。この30年ハードカバーで何度も読みましたが、ボロボロになってきました。似たような雰囲気の本は世に数あれど、本書はダントツです。くらべものになりません。今後はkindleで好きなときに読めると思うと楽しみです
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みのるお
5つ星のうち3.0 「天皇の原理」(小室直樹)を読む。
2023年8月1日に日本でレビュー済み
1993年に出た書物だが、今年復刊された。解説は副島隆彦大センセである。
 書名は「天皇の原理」であるが、天皇の関する直接の記述は少ない。大半がユダヤ教、キリスト教、イスラム教、儒教、仏教、日本仏教についての記述であり、それらと対比、比較することで、天皇とは何であるか(何でないか)を描き出そうとしている。
 世界に神より約束の地を与えられた民族は2つのみ。ユダヤと日本だけである。が、この2つの民族はことごとく異なる。約束の地に帰れないで世界を彷徨い選民ならぬ賤民扱いされたユダヤ人と、約束の地を離れることもなく異国民に占領された経験もほとんどない日本人。ヤーウェは極めて厳しい神であり、ジェノサイドもたびたびやってのける。じゃあユダヤの民が神の言うことに絶対服従かというとこれがまた守らない。それでも神はユダヤの民を見捨てない。なぜか。「神の栄光には民が必要」だからだ。当時の先進国であるエジプトやメソポタミアなどの絢爛豪華な宗教文化には勝てないので、死後や偶像を語ることを禁じ、民族の救済を約束したのだ。旧約(古い契約)は神がイスラエルの民を救済すると約したものだ。
 「国家の三要素」とは「主権、領土、国民」である。ユダヤにはそのすべてがなかった。ヒトラーは「国家は民族を入れる器である」といったが、なぜユダヤ人は国家もないのに民族を維持することができたのか。日本人は外国に移民してしまうとすぐに日本人でなくなり、「日系●●人●世」になってしまうが、ユダヤ人は世界のどこにいようとユダヤ人だ。それはユダヤ教における救済がユダヤ人全体の救済であるという集団救済性による。最高神アマテラスは天孫ニニギに無条件に葦原の瑞穂の国を与えた。ヤーウェはイスラエルの民に無条件に乳と蜜の流れる土地を与えたのではない。「神の法」を守らなければ鏖(みなごろしと読む)にされるのだ。この戒律がユダヤ人をユダヤ人たらしめる。日本人は葦原の瑞穂の国を出た途端日本人でなくなるのに。
 キリスト教には(旧約からの借り物以外)法律がない。イエスは「隣人を愛さないと鏖」とは言わないのだ。戒律を破った女に対しても「罪なき者のみ石で撃て」と刑の執行をさせないのだ。では救済はどこにあるか。予め決まっている(予定説)のだ。神は法と切り離され、法なしに神の正義は成立し、神は法に縛られず救済を行なうのだ。外面的な行動の正しさ(遵法)と内面的正しさ(信仰)が決然と区別された。しかし、キリスト教はユダヤ教を「旧約」として引継ぎ、ユダヤ法を引き継ぎ、それはローマ法として発展・整備された。
 仏教とは戒律のことだ。戒律により法を覚り解脱し仏となることが救済だ。ところが日本仏教は戒律を捨ててしまう。最澄は自誓受戒でも僧になれることにしてしまう。浄土宗や浄土真宗に至っては念仏のみだ。こんな妻帯肉食を僧に許す無法は仏教は日本以外どこにもない。この無法な予定説が「ニニギの子孫たる天皇は無条件に正しい」と結実する。この絶対王政が揺らいだのが「承久の乱」である。尼将軍政子の演説は後鳥羽上皇に対する易姓革命を正当化する儒教的論理に則ったものだ。徳川の論理も儒教によるものだ。
 日本の天皇に絶対王政を再度もたらしたは、明治維新の理論的支柱である崎門学派や水戸学派である。イエスの復活がキリスト教=予定説を強化したように、蘇った天皇制は絶対性をもった。これが小室先生のいう「天皇の原理」である。ちょっと論旨があちこちに飛んで牽強付会な印象が否めない。
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Bitter and Sweet
5つ星のうち4.0 皇国史観における承久の乱の重要性に気付かされた
2023年6月17日に日本でレビュー済み
キリスト教の予定説について懇切丁寧に解説されています。
日本仏教は仏教のなかでかなり異端だと思われます。その理由は、本書を読めば納得できます。
本書のタイトルと内容に若干のズレを感じます。天皇制に対する小室氏の自説をもっとくわしく知りたかったのに、そういう書籍でない点は残念。
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