「特段の事情のない限り」という言い回し

【「特段の事情のない限り」という言い回し】

原則、契約解除有効。解除肯定。→結論賃貸人の主張肯定
例外、契約解除無効。解除否定。→結論賃借人の主張肯定
というややトリッキーな賃貸借の規定において、
具体的には賃貸借契約の解除条項のところ、
むやみに、賃貸借契約を解除させないようにするため、
「特段の事情のない限り」という特有の言い回しを
使います。
「特段の事情」とは例外であり、
「特段の事情がない限り」は原則であり、
原則条文の趣旨を否定するため、
原則契約解除できない、
という条文(=原則解除肯定)とは反対の解除否定の言い回しがあり、
「特段の事情がある限り解除できる」という
言い回しはない、とされるところ、
普通には、一回聴いただけでは、
何をいっているのか、理解がやや困難です。
「賃貸借契約は解除できない」という
結論にもっていくため、
「特段の事情がない限り」という限定をつけるところ、
具体的には、
背信的な信頼関係の破壊が、特段の事情と解すようです。
そういう背信的な信頼関係の破壊がない限り、
賃貸借契約は解除できない、というのが最高裁の判例要旨です。
どうしてこういう苦しい言い訳があるのかというと、
条文上の原則解除を否定するため、
裁判上、条文の趣旨をくつがえそうとして、
条文外の判例法理を構築する、
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/procedure/lecture/words.html
というあたりが、一筋縄でいかないところで、
頭がいいのか、屁理屈なのかはわからないけど、
こういうところが、
何かをいいくるめられるところです。
とどのつまりは、
賃貸人の主張と賃借人の主張を
どう調整するかから、
屁理屈が編み出されるところ、
一方に味方すれば、
他方に不利益になる、というだけで、
そのために、奇妙な屁理屈を作り出すという
感じは否めない。
原則と例外のねじれの端的な表現が、
賃貸借を巡る判例法理でしょう、ね。
ダ=ヴィーン∀!!

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