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【『ジョルダーノ・ブルーノと ヘルメス教の伝統』概要紹介】
https://49497.diarynote.jp/201212110847318796/
『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』
2012年11月30日 読書
『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』
フランセス・イエイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』を読んだ。1964年に出版された、イエイツの原点とも呼ばれている本。
何が書かれているかと言えば、次のとおり。
本書が目指しているのは、表題に示した通りのこと、すなわちブルーノをヘルメティズムの伝統の中に置くということ、それだけである。
(序)
構成の中心をジョルダーノ・ブルーノに置き、彼に至る流れ、彼以降の展開を追った
(序)
ではあるが、先走った予告がときどき挿まれて、否が応でもブルーノの章までぐいぐいと引っ張っていく。たとえば、こんな調子。
ブルーノの哲学は基本的にヘルメス教的なものであった。そして彼は最も急進的なタイプのヘルメス的<魔術師>として魔術的ー宗教的使命感に満たされていた。コペルニクス説はその使命感の一つの徴表だったのである。こうした命題はしかし後の方の章でより詳しく論じられることになるだろう
(第9章)
本書でとりあげられる「ヘルメス・トリスメギストス」の「トリスメギストス」は「三重の」と言った意味で、何が三重かというと、本書第3章では、「司祭、哲学者、そして王または立法者という三重の資格を有していた」とするフィチーノによる説明をあげている。
以下、目次と、ごく一部引用。必ずしも論旨のポイントに関わる部分を引用していなくて、面白いな、と思ったところ中心なので、全体の内容を知りたい人は、一読をおすすめしておく。
長くなりそうなので、この項では、まず、前半部分。
序
第1章 ヘルメス・トリスメギストス
古代エジプトへの回帰とヘルメス文献
ルネサンスの大いなる進歩は、その活力、情念的な推進力のすべてを過去の想起から得ていた。
エジプトの神トートは、神々の書記であり叡智の化身としての神である。ギリシア人たちはこのトート神を自分たちのヘルメス神と同一視し、時折「三倍も偉大な」(トリスメギストス)という称号を付け加えた
厖大な量のギリシア語文献がヘルメス・トリスメギストスに仮託されつつ産み出されていった。それらのテクストの主題は占星術とオカルト神秘学である
ラクタンティウスによるヘルメス・トリスメギストス評価
ラクタンティウスは、ヘルメス・トリスメギストスが<神の子>と<言葉>について語ったがゆえに、キリストの福音の到来を予見し予言した異教徒たちの中でも最重要の一人であると考えていた
アウグスティヌスにおるヘルメス・トリスメギストス批判
アウグスティヌスはまたエジプト人たちをその魔術のゆえに称讃したという廉でヘルメス・トリスメギストスを非難する
しかしアウグスティヌスはまたこう続ける。「このヘルメスは<神>について多くの真実を語っています」。確かにヘルメスはエジプトの偶像崇拝を盲目的に礼讃したし、またその偶像崇拝が終焉に向かうだろうという預言は悪魔から得たものではあったけれども、逆にまた彼はイザヤの如き預言者の言葉をも引用している。そうアウグスティヌスは指摘する。そしてそのイザヤはこう言ったのだった。「主の御前に、エジプトの偶像はよろめきエジプト人の勇気は、全く失われる」
ヘルメス文献のラテン語訳
<始源の神学>の系譜は、フィチーノの考えでは、ヘルメスに叡智の伝統の「源泉にして根源」としての極めて重要な位置を必然的に与え、そしてその系譜は途切れることなくプラトンにまで至ったのだとされる
ルネサンス期の魔術再興
中世には教会が魔術を追放した
これに対しルネサンスの魔術は、改革された学識ある魔術であって、古めかしい、無知の、邪悪な黒魔術とのいかなる関係をも否認するのを恒とした。ルネサンス的哲人にとっては、魔術はしばしば一つの尊崇に値する随伴的能力だった
第2章 フィチーノの『ピマンデル』と『アスクレピウス』
ヘルメス文献の概要
この最古のエジプトの著者は、フィチーノにとっては、モーセ的真理、それどころかキリスト教的真理をも神秘的なやり方でまざまざと啓示してくれる存在であった
「ヘルメス・トリスメギストスの著した「神々しい書物」はフィチーノにとっては二冊あった。その一つは<神の力と叡智について>(『ピマンデル』の全14篇)、もう一つは<神的な意志について>(つまり『アスクレピウス』)である」
創世記との類似点
「(フィチーノは)『プラトン神学』の中では結局のところヘルメス・トリスメギストスはモーセその人だったのではないだろうか、と大胆な憶測を試みてすらいる」
『アスクレピウス』の名誉回復
「『ヘルメス選集』の発見による『アスクレピウス』の名誉回復は、ルネサンスにおける魔術の復興を推進した主たる要因の一つではないかとわたしは思う」
第3章 ヘルメス・トリスメギストスと魔術
ヘルメス文書の魔術的側面
「要約して言えば、オカルト的共感や護符を扱ったこうしたタイプの文献においては、ヘルメス・トリスメギストスという名そのものが呪文のような働きをしているのである」
魔術マニュアル『ピカトリクス』
「『ピカトリクス』の著者は最初の二書で護符とその製作法について詳しく述べた後、第三書では宝石、植物、動物等々と惑星、宮等々の照応関係の詳細な一覧を与え、さらにまた、身体のどの部分がどの宮に照応しているのか、惑星の色、惑星の名前や力に呼びかけながらその霊気を招き寄せる方法、等々について論じている。第四書は同様の事柄やまた香料の用い方について論じ、惑星に向けた讃辞で結ばれている」
フィチーノと魔術
「むしろわれわれが関心を持つのは、マルシーリオ・フィチーノが、プラトンやネオプラトニズムの復興運動に際してキリスト教との調和にあれほど腐心したにもかかわらず、魔術という脇道に逸れ、それが復興運動の核心に侵入することを許したという事実である」
異教的反動とエジプト趣味
「ラクタンティウスとアウグスティヌスの時代の間には異教側からの反発が、背教者ユリアヌス帝の治世という形をとって顕在化している。その背教は哲学的な「世界を礼拝する宗教」への回帰、また秘儀的祭祀への復帰を通じてキリスト教という新しい成り上がり宗教を追放しようとする志向を内実としていた」
第4章 フィチーノの自然魔術
星辰魔術とネオプラトニズム
「このようにしてプロティノスの主張に対するフィチーノの註釈は、回り道をしながら、護符の使用、そして『アスクレピウス』に描かれた魔術を正当化するものとなる。その正当化の根拠はネオプラトニズム的なものである。つまりは古の賢人たち、また護符を用いる現代人たちは悪魔たちを呼び出しておるわけではなく、<万有>の本性を深く理解し、神的なイデアがこの下方世界に反照してくるその度合いについて知悉しているのだとされるのである」
フィチーノのプロティノス解釈
「彼(フィチーノ)はトマス・アクィナスが『アスクレピウス』中の魔術をはっきりと悪魔的なものだと非難したその見解に賛同していた。しかしプロティノスの註解を読んで以来、確かにエジプトの神官たちの中には悪魔的魔術を用いていた悪しき者もいたけれども、ヘルメス・トリスメギストスは彼らの一人ではなかったということを理解した」
霊気理論と護符魔術
「病気を治すためには以下の図像の使用をフィチーノは勧めている。「玉座に就いた一人の王。黄色い衣服を纏っている。それに一羽のカラスと太陽の形を加える」」
ボッティチェッリの《春》
「フィチーノはオルフェウス教の唱歌を歌う習慣があった。おそらく自ら古式のヴィオラを弾いて伴奏したのだろう。曲は単純な単旋律の音楽で、フィチーノは天球の動く天上から発する音楽を反響していると信じていた。つまりピュタゴラスが語っているあの天界の音楽のことである」
中世魔術とルネサンス魔術の連続性
「この太陽に呼びかける『ピカトリクス』中の呪文のたわごとめいた響きは、フィチーノのあの「自然の」天体唱歌となんとかけ離れていることだろうか!」
第5章 ピコ・デッラ・ミランドラとカバラ的魔術
ヘルメス・トリスメギストスとカバラ
「ピコがルネサンス魔術史で重要な存在であるその主たる理由は、彼が自然魔術を補完すべきもう一つ別の範疇の魔術を付け加えたことによっている。ピコがルネサンス魔術師の素養に加えたこの別の種類の魔術とは実践的カバラないしカバラの魔術である」
「ピコが創始しほとんど煽ったとすら言いたくなるヘルメス教とカバラの融合は、重大な帰結をもたらすこととなった」
自然魔術とカバラ的魔術
「実際に催されることはなかった<結論集>を討論する会議のための冒頭演説草稿<人間の尊厳について>の中で、ピコは魔術に関する主張の主要なものを繰り返している。魔術には二つあり、その一つは悪霊たちの働きによるものだが、他の一つは一種の自然哲学であること、善き魔術は<共感>によって、つまりすべての自然を貫く相互的信頼関係を知悉することによって働くこと、そうした主張である」
カバラの理論的基盤
「ヘブライ語のアルファベットは、カバラ主義者にとって、<神>の<名>ないし<諸々の名>を含んだものである」
自然魔術のカバラ的超越
「ピコはカバラを二つの主たる部門に分けていることになる。一つは<結合の術>(アルス・コンビナンディ)であり、おそらくはアブラハム・アブラフィアの文字ー結合を廻る神秘主義に由来するものである」
「ピコのカバラの第二のもの、つまり「より高次の事物の諸力を捕捉する一つの手法であり、その同じ目的を追求する別の手法が自然魔術であるような」学問、また「自然魔術の最高の部門」であるようなカバラ」
〈セフィロト〉と神秘的な昇天
「ルネサンス期において実力ある<魔術師>とはつまり芸術家たちのことであった」
魔術とキリスト教
「魔術とカバラがそれほどまでに威力あるものならば、キリストがその奇跡に満ちた業をなし遂げた時にも、それらの手段に頼ったのではないだろうか。いや絶対にそのようなことはない、とピコは力を込めて否定する。しかし彼より後代の魔術師たちはこの危険な思想を再び取り上げることになるだろう」
ヘルメス教とカバラ
「ピコは彼の『結論集』において、カバラ主義に関する結論を提示する直前で、ヘルメス・トリスメギストスの10の命題を援用している。ヘルメス教に関するこれらの結論の第9命題は以下の如くである。
10の懲罰を一つずつ列挙すると以下の如くになる。無知。憂い。気まぐれ。欲望。不正。奢侈。妬み。偽り。怒り。悪意。以上である。」
異端者ピコ
「ピコの命題のいくつかについてローマの神学者たちの間では深刻な異端の噂が広まった。それを顧慮した教皇インノケンティウス八世は事情を調査するべく委員会を組織せざるを得なくなった」
教皇アレクサンデル六世による擁護
「わたしは教皇アレクサンデル六世がその前任者インノケンティウス八世の治世を逆転させようとする意図をはっきりと宣告したかったからではないかと思う。つまりピコ・デッラ・ミランドラの主張する<魔術>とカバラを宗教の支えだというプランを採用することによって、その前任者の宗教政策との根本的な差異を顕示したかったのだと考えてみたいのである」
第6章 偽ディオニュシウスとキリスト教魔術の神学
偽ディオニュシウス的神秘主義
「フィチーノは位階間の関係を述べる際に、ほとんど占星術的に響く要素を導入し、それによって諸位階と天圏との連続性を強化している。位階はそれぞれ<三位一体>からの感応霊気を「飲み干す」と言われている」
天使たちの世界と否定の神学
「偽ディオニシウスがルネサンス的総合にとって非常に重要なものとなったもう一つの理由は、彼に一貫する<否定の神学>の観念にある」
ルネサンス期の宗教と魔術の関係
「「なぜ<愛>は<魔術師>と呼ばれているのか」とフィチーノは『饗宴』への註解の中で自問する。「それは魔術のすべての力の本源は<愛>だからである」」
第7章 コルネリウス・アグリッパのルネサンス魔術総覧
アグリッパの通俗的魔術概説書
「アグリッパはこの著作(『オカルト哲学について』)を1510年以前に完成していた。しかしそのまま1533年までは出版しなかった。その出版の年には、彼のもう一つの著作『諸学の空しさについて』が上梓されてすでに数年を経ていた。この著作では、オカルト的な学問も含めて、すべての学問は空しいものだということが主張されている。しかしアグリッパの主たる関心事は、その生涯の終わりに至るまで、疑問の余地なくオカルト的な諸学問にあった。したがってそうした学問分野に関する概説書である『オカルト哲学について』を出版する前に、その領域の学問は空しいということをテーマとする書物を公刊するということは、一種の予防策だったと見做し得る」
第一書/自然魔術
「アグリッパが目指しているのは『アスクレピウス』のタイプの魔術で、神霊たちの力を最大限活用しようとする。それは前の数章で記述したあのフィチーノの穏やかにネオプラトニズム化された魔術とは大きく異なるものである」
第二書/天上的魔術
「魔術で最も必要なものは数学の知識である。自然界に存在する力によって成し遂げられることは、数、重さ、そして尺度に支配されているからである」
第三書/儀典的ないし宗教的魔術
「フィチーノの魔術は穏やかで芸術家肌のものであり、主観的でどこか精神科医を連想させる趣きがあった。ピコの魔術は求心的に敬虔なものであり、瞑想的であった。両者は共にアグリッパの魔術に特徴的な、怖ろしく強力な力の共示というものをいまだに知らない。しかしこの魁偉な建造物の基礎を築いたのはやはりフィチーノとピコの両人なのである」
アグリッパと神官的魔術
「要約して言うなら、アグリッパの魔術によって到達された地点とは、ヘルメス文献『アスクレピウス』中でわれわれがすでに出会った、あの理想のエジプト的社会ないしエジプト風に演出された社会に非常に似たものであり、その制度的本質は神官たちによって統治される神権支配である。彼らは魔術的宗教の秘密を知悉し、それによって全社会を統率する」
「中世は、全体として見れば、アウグスティヌスの見解を従順に踏襲し、『アスクレピウス』に含まれる偶像崇拝を追放してきた。ヘルメス・トリスメギストスを教会に招き入れたのはラクタンティウスとフィチーノ、またピコである(そしてこのピコは教皇アレクサンデル六世によって強く支持された)。したがって魔術と宗教の関係はもはや単純に中世的なテーマであるとはいえなくなる。それはむしろ非常に複雑な現象であり、必然的に「教会制度に内在する魔術のその基盤とはなんなのか」あるいは「<魔術>とカバラは宗教の支えとして受け入れられるべきなのか、それとも拒絶されるべきなのか」といった本質的な問いを誘発するのである。この後者の問いは、「魔術の盛行は宗教上の改革を助けるものなのか」という形に変えて提出することもできるだろう。この問いに対する一つの解答が強い否定形として現れたのかもしれない。つまり「すべての魔術を取り除き、すべての図像を壊してしまおうではないか!」というスローガンがそれである」
第8章 ルネサンス魔術と科学
ルネサンス期における〈人間〉像の変化
「トリテミウスは、この天使たちのネットワークを非常に実用的な目的のために活用しようとする。つまりそれをある種のテレパシーとして使い、遠く離れたところにいる人々にメッセージを伝える手段として用いようとするのである。彼はまたこのネットワークによって「世界中で起こっていることについて」知ることができるのではないかと期待している」
ルネサンス魔術における「数」の重要性
「ディーとケリーはアグリッパのオカルト哲学を熱心に研究していた。アグリッパの著書の第三書には天使たちの招喚のために用いられるべき数値とアルファベットの詳細な一覧表が掲載してある。それをディーとケリーは彼らの降霊儀式に使用したのだった。その魔術的儀式では、ミカエル、ガブリエル、ラファエルと他の天使たち、また精霊たちが見霊の水晶球の中に顕れ、ケリーの口を借りてディーに語りかけたが、ディー自身は天使たちの姿を見ることはなかった。つまりケリーは詐欺師であり、信心深い師匠をだましたのだが、この詐欺の性質そのものが、まさに彼ら二人がいかにルネサンス魔術に通じていたかということをよく示している」
ヘルメス教的カバラ主義者
「フランチェスコ会の修道士であったヴェネチア人、フランチェスコ・ジョルジョないしジョルジの著作『世界の調和』は、ヘルメス教的カバラ主義者のあらゆるタイプに内在している一つのテーマを十全に展開している。それは宇宙的調和のテーマ、すなわちミクロコスモスとしての人間と、より大きな世界である宇宙、マクロコスモスとの間の調和的関係である」
中心としての太陽
「コペルニクスはヘルメティズムの神秘主義的太陽観の影響を受けなかったわけではないが、その数学的操作においてはヘルメス教とは無縁だった。ブルーノはしかし、コペルニクスの科学的業績を前科学的な段階、つまりヘルメス教の世界へと遡らせ、コペルニクスの呈示する宇宙図を神的な秘教のヒエログリフとして解釈するのである」
科学的実践への解放
「ルネサンス<魔術師>が近代という時代において果たした真の機能とは、彼が意志そのものを変容させたという事実に存するのである(という風にわたしは考える)。いまや実践的操作の営為は人間にとって品位ある重要な活動となったのである。いまや人間が、この一個の大いなる奇跡が、彼の力を十全に発揮することは宗教的な営為であり、<神>の意志に反することではないことが明らかになったのである。この意志の新たなる方向付け、この基本的かつ心理的な再定位こそが、もはやその精神において、ギリシア的でも中世的でもない彼方へと意志を解放し、すべての重要な帰結を産むその端緒となったのである。
この新しい定位の姿勢の根源となった情念的な要因とはなんだったのだろうか。それは<ヘルメス文書>とそのお供の<魔術>の再発見がもたらした宗教的な高揚感に源泉を持つ情念であったと指摘し得る」
第9章 魔術批判 [1]神学的異議 [2]人文主義的伝統
[1]神学的異議
「魔術に対するカトリックの側からの公式見解はイエズス会士のマルティン・デル・リオが1599年-1600年に出版した大部の著作の中で重々しく宣告されている。デル・リオは自然魔術のいくつかは認めようとしているし、フィチーノに対しても全く反感と嫌悪の塊だというわけではない。しかし彼は護符の使用は断固として糾弾する。またヘブライ語が何か特別な力を持っているということも否定する。かくしてフィチーノの<魔術>もピコの実践的カバラも二つながら拒絶されることになる」
[2]人文主義者の伝統
「エラスムスの礼讃者が彼を<三倍も偉大な方>と呼んで称えたことがあった。ところが彼は非常に苛立ちを示したのである。ジョージ・クラットンは、このお追従でしかないはずの異名に対してエラスムスが訳の分からない怒りを見せたのは、おそらくは<三倍も偉大な方>という褒め言葉が<三倍も偉大なヘルメス>(ヘルメス・トリスメギストス)を暗示していたからだろうと指摘している」
宗教改革と魔術
「形而上学や数学的研究に対して人文主義者たちは嫌悪感を懐いていた。この嫌悪感は宗教改革の時期に至ると、過去の時代とそこで行われていた魔術一般に対する憎悪へと変容するのである」
「エラスムス主義的な改革を経たプロテスタントの国であるイギリスで、魔術的な哲学を標榜することはすでに狂気の沙汰であった。その同じ哲学がブルーノを対抗宗教改革のローマまで、その火刑の柱まで、導くことになったのである」
第10章 十六世紀の宗教的ヘルメティズム
フランスのヘルメティズム受容
「リヨンのサンフォリアン・シャンピエはフランスにおけるネオプラトニズムの指導的な信奉者であり、またフィチーノの崇拝者だった」
「またシャンピエは、『アスクレピウス』の魔術を描いた章句は聖なるヘルメスが書いたものではないという、<ヘルメス文書>の信奉者を安心させてくれる見解を初めて公にした人物でもある。つまりそれは邪悪な魔術師、マダウロスのアプレイウスがこの著作をラテン語訳する時にこっそり付け加えたものだ、というわけである」
魔術ぬきのヘルメティズム
「つまり当時フランス宮廷の中心には、かつてフィチーノとピコの学術を支援し、彼らの魔術研究をも止めようとはしなかった大いなるフィレンツェの名家、メディチ家の出である<皇太后>カトリーヌ・ド・メディシスが君臨していたからである。カトリーヌは護符に熱中し、魔術師や占星術師を好んで支援したことで悪名が高かった。彼女が中心となって催した宮廷祝祭の背景になんらかの魔術的な意図が隠されていなかったとは考えにくい」
プロテスタント的ヘルメティズム
「この世紀(16世紀)も後半に入ると、宗教改革とカトリック的反動の間で繰り広げられた争いが怖ろしい戦争と迫害の嵐を巻き起こし、ヨーロッパは荒廃の危機に瀕していた。モルネ(フィリップ・デュ・プレン・モルネ)はそうした時代にヘルメティズム的な宗教性に救済を求めた人々の典型例である。世界の此岸性を内実とするこの宗教性は、同時代の泥沼から距離を取り、両陣営の狂信が生む暴力の苦悶から脱出する可能性を示してくれた」
宗教的寛容とヘルメティズム
「わたしがこの論文(「ジョルダーノ・ブルーノの宗教政策」)で提起したのは、1582年にブルーノがパリからイギリスに渡った時、彼はアンリ三世からある種の政治的使命を託されていた、という仮説である。パリ滞在中にブルーノはアンリ三世からある程度の支援を受けていたし、イギリスに渡ったのは、国王アンリの平和的で宗教的な意図をスペインの軍事的野心との対照において際立たせ広めるためでもあった」
「わたしはまたブルーノの哲学は宗教的な背景を持っており、したがって彼のイギリス行きは、プロテスタントの国に対するカトリック側からのある種の和解を目指すという使命をも帯びたものであったということをその論文で示唆しておいた」
パトリッツィの〈新しい哲学〉
「『普遍哲学新論』の中で呈示されたパトリッツィの<新哲学>は、魔術を用心深く避けようとしたフランスの伝統に根ざすものというよりは、フィチーノとピコに遡行するイタリアのヘルメティズムの伝統を背景としたものである」
イギリスにおける宗教的ヘルメティズム
「16世紀のヨーロッパ大陸部での宗教的ヘルメティズムに対する関心は、求心的な没頭を特徴としていた。それに比べると同時期のイギリスは奇妙に孤立した位置にある。その原因はこの国が近い過去において宗教的な激動の時代を経ていたためだった
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