【ネガ志向はユング派で救済】
ユングの心理学とは、
神話心理学である。
つまり、意識化を神話化の方向にもっていくことで、
無意識=恐怖を意識化することは、
実は、神話と結びついていると指摘することで、
恐怖を除去しようとする。
他方、
フロイトは、無意識=恐怖的なるもの、とする。
それでは、救済されがたいとして、
ユングは、無意識を無化することが、意識化であり、
しかも、普通に意識化すると、恐怖が現前していくので、
そうではなく、無意識=神話的なるもの、として、
恐怖空間を極力解消していこうとする。
基本的には、ユングは、恐怖の消滅化をめざす。
ただ、その方法が、いかにも、作為的に神話世界と
結びつける、ということである。
つまり、
フロイト、ユングとも、
その心理学は、精神療法的なものなので、
単に、分析で終わるのではなく、
人の救済を目的としている。
そして、両者のその救済方法が、
丁度、対極に位置するのである。
しかし、
フロイトの場合は、恐怖、葛藤は当然としているのに対して、
ユングの場合は、恐怖、葛藤を極小化しようとしているので、
実は、ユングのほうが、抱いている恐怖感は大きい。
神と人間の関係を、汝と我の関係に分解されていくことに
ユングは、どちからというと、耐え切れない。
そして、個人的恐怖を集合的神話心象に格上げして、
救済しようとする。
三次元思考回路は、外なるものを表象し、
神話的思考回路は、内なるものを表象とする。
それで、ユングは、神話的思考回路においてこそ、
活路を見出そうとするのである。
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